この国にはいつになっても驚かされる。
いい意味でも悪い意味でも。
明日は大統領選の投票日であり、フリーフードの日でもある。
Starbucks、Ben & Jerry Ice Cream、Krispy Kreme Doughnutsでは投票をした人には無料で商品がふるまわれる。
昔、「トリスを飲んでハワイへ行こう!」という壽屋(現サントリー)の名キャッチコピーがあったけれど、この国では「投票をしてコーヒーをもらおう」ということになってくるわけだ。
まぁ、無料のコーヒー欲しさに投票する人はほとんどいないとは思うけれど、
<選挙=フリーフード>
といった公式はまず日本では思いつかないだろうし、受け入れられないだろうし、もし、そんな酔狂なことをする企業が現れたとしても、<投票をした証拠の提示>といった面倒くさい手順をはずされることはないだろう。
僕は日本で一度も投票をしたことがないのでわからないのだけれど、果たして日本ではそういった証明書のようなものが配布されるのだろうか?
この国ではあるらしい。
投票をした人には"I Voted!"と書かれたステッカーが配られるという。
もちろんそれはコーヒーやアイスクリームのためではなく、それを胸につけてもらってまだ投票していない人への啓蒙、あるいは投票者の自意識をくすぐるといった目的なのだろうけれど。
Krispy Kreme Doughnutsに限ってはこのステッカーを貼っていなければドーナツはもらえない。
事を大げさにするのが好きなのもまたこの国の特徴で、中には「これは永住件保持者(選挙権なし)、市民ではあるが何らかの理由で選挙権を停止されている人、郵送による投票を済ませた人(ステッカーはもらえない)たちへの差別である」と騒いでいる御仁もいるらしい。
まぁ、たかがコーヒー一杯やアイスクリームのワン・スクープに目くじらを立てる人がそう多いとは思えないのだけれど。
そういったこともあってか、Starbuckと、Ben & Jerry Ice Creamではカウンターへ行き"I voted"と言えば無料で商品がもらえるシステムをとったのかもしれない。
日本ではこういったことは起こりにくい。
そして、「そんじゃ、俺、選挙権ないけどコーヒーもらいに行ってみっか」とすぐ考えてしまうのもまた我々の悲しいところ。
僕もそんな考えが一瞬頭をよぎったが、Starbucksのコーヒーは嫌いで、アイスクリームは歯にしみるし、甘いものは苦手ときているのでなんの恩恵にもあずかれません。
企業には、「投票者が増えれば××氏に有利」といった思惑もあることだろう。
それでも、なんでもお祭り騒ぎにしてしまうこの国は好きだ。
節操のないバカ騒ぎにはいつもへいこうしてしまうけれど。
昨日は、ここ数年恒例になているNYCマラソン見物へ行き少し前に録画を観た東京マラソンを思い出していた。
国民に金をばら撒いたり、東京でマラソンをやったりまねっこばかりではなく、もっと人々が選挙に行きたくなるシステム、政策を思いつかないのかねー。
アイスで政権取れるほど楽じゃないから、ステッカーだけは配らないで欲しい。