(つづき)
アメリカの味がするコカコーラ。
年に一度、独立記念日に開放される佐世保米軍基地にある売店で買ってきたものだった。Coca-Colaのロゴまでがどことなく違って見える。
今<コカコーラ>と聞いて、そのロゴを見て何かを感じる人はどれくらいいるんだろう?僕にとってそれは完全な等号でアメリカという国と、その匂いと結ばれていた。真っ赤な地に白で抜かれたロゴ入りTシャツを喜々として着ていた頃があったほどに。
たばこの箱、ビールのラベルや王冠、そんなところにアメリカを感じ、海を超えてからは普通のお店の看板、ブックマッチに刷り込まれた図柄、お世辞にも上手とは言いがたい車のドアに描かれたイラストからもその匂いをかいでいる。
そしてスーパーマーケット。
あの頃はちょうどbrown bagからplastic bagへの過渡期だった。最近では嫌われものになりつつあるplastic bagも、アメリカの豊かさの象徴と言うこともできるスーパーマーケットのロゴをのせ町中にあふれ出していた。
そんな中でのお気に入りはShop RiteとKey Foodのもの。少しバタ臭いデザインがいい。その古っぽさが今でもあの頃に連れて行ってくれる。
袋としてよりも文化の切れはしとして、僕はplastic bagを愛している。突きつめれば、ああいった物がなかったら僕は今この国にはいないだろう。
大量消費が美徳であり、夢、憧れであった頃のアメリカ。自分を正当化するつもりはないけれど、あれはあれでよかったのではないかと思う。
そして時代は変わった。
こんなことを言っている僕も、今では空のplastic bagを持って買い物に行ったりする。100%とまでは行かないけれど打率は6〜7割程度かな。打率6割エコ男。
"It's NOT just A Plastic Bag!"
「あーあ。2時間待ちだってさ」
三月頃のことだったと思う。
暖房のきいた部屋で冷えたビールを飲みながら、僕はテレビに映し出される東京の光景をビールと同じくらい冷ややかな視線で眺めていた。
(つづく)
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