あてもなく外へ。
図書館で借りた本と水筒をかばんに放り込んで。
外で本を読むのは……。
通り過ぎる車の音、
ひとりごとのやまない男、
遠くから聞こえるパトカーのサイレン、
……
そんなすべてのものを自然として受け入れていながら。
街に溶けこんで本の世界へと入っていく。
本の一部となりつつも、
「日が暮れたら帰ろう」
と、こかで決めている正気の自分。
陽光で文字を拾いづらくなったら歩こう。
なんだか暗くなってきた。
それにしても、少し様子がおかしいような。
そういえば、前日流していたニュースのどこかで、
「サンダーストーム」という言葉を聞いたような、聞かなかったような。
それにしても自信がない。
考えてみると、昼間から夜。
一方が少しずつ増え、もう一方が減っていく。
等量になり一方がゼロに近づいていく。
そんな時間を屋外で過ごすのは久しぶりだった。
夕暮れという感覚が欠落している。
それにしても自信がない。
念のため。
帽子代わりに巻いていた麻の葉柄の和手ぬぐいを脱いで、
手帳と本をくるみ、レジ袋でおおう。
再度レジ袋に入れ、かばんのフラップを下ろして立ちあがる。
歩き出して半ブロックも行かぬうちにあたった。
「ポツリ」
たまたま木陰のベンチに坐っていたからあたらなかっただけなのか。
木の下では雨が上がった後でも雨が降る。
無数の葉がたたえている、それ以上の水滴が、
空気の動きで、重力で雨を降らせる。
あれは雨粒なのだろうか?
それとも既にただの水滴になってしまっているのだろうか?
そんなことを考えながら歩いていると、
次のブロックだけで雨粒の当たる頻度が確実に数倍になり早足に。
歩きながら再度かばんのフラップを上げ、
2重にしていたレジ袋の1枚を取りノートをくるむ。
身体は濡れても一向に構わないが、道具は困る。
前を横一列になってゆっくりと歩いていく、
黒人ベビーシッター数人と白人子供たち。
追い抜きながら。
どうしてだろう?
右肩越しに不意に振り返っていた。
普段、歩きながら振り返ることなんてほとんどないのに。
ほんの少し前、過去となったところ。
先ほど通り過ぎた交差点でバスが信号待ちをしている。
斜めに道路を横切って何とか乗り込む。
普段だったらこんな距離で乗ることは絶対ないのに。
1つ目のバス停で乗り込んできた日本人の女の子はぼくの前に座り、
ぼくは3つ目のバス停、Smoke Shop前で降りる。
「あ、そろそろ缶入りタバコを買っとかなきゃ……」
"Thanks."
運転手に礼を言いながら
(この国のバスにも車掌という人が乗り込んでいた時期があったのかな?)
などと考えたが、歩道に片足がついた途端にタバコのことともに飛んでしまう。
雨脚はかわっていない。
それでも早足で50mほどをを歩く。
自分の体のためでもなく、道具のためでもない。
窓を開けていくのを忘れていた。
帰り着くと3匹の猫達が。
窓ガラスににブチの入りの肉球を密着させてはりついていた。
タダイマ。