ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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二つ名
「どうも。はじめまして トミーです」
いまだになじめない。違和感どころじゃない。
というよりも神経を疑ってしまう。
そんじょそこらにの日本人が裸足で逃げ出してしまいそうなほど、
コテコテ日本人顔なのに、
こちらが日本人であり、日本語で話しているのにもかかわらず、
どこをどうしたら、
涼しい顔で自分のことをトミーなんて名乗れるんだろう。
きっと本名は富松あたり。

ニック、マイキー、アンディー、ジョージ、サム、ケリー、アレックス、ショーン……。
どれも日本人の名。
こちらで、俗に言われるところのアメリカン・ネーム。
人間性云々はさておき、
名前においては厚顔無恥という言葉しかでてこない。
ぼくの価値観というくくりではn。
もちろん価値観は無数にあり、
自在のはずはないのだが変貌をつづける。
ここの無恥が、
あそこでは無痴になり、
向こうの方では無知と呼ばれることなんてざら。

それにしても。
相手を英語名で呼ぶのはそれほどでもないが、
日本人の口で呼ばれるのはたまらない。
(もしぼくにアメリカン・ネームがあったとしても)
ポール君、ジョーさん、エディー氏はなんともないんだろうか?
それとも地下鉄ホームの小便臭と同じで、
慣れ、馴れ、狎れ、そしてズレてしまうのか?


もちろん無知ということもあっただろう。
それよりもズボラでいい加減なくせに、
少しだけバカ正直が同居している。
そんなところが理由。
もしぼくが逃亡者の身となり、
人ごみの中で「あ、境さん」と呼びかけられば、
「はい?」と立ち止まって振り返るだろう。
(あ、あいつ刑事じゃないかな……、といぶかしみながらも)
自分が正直者というのではなく、
缶詰を開ける音に反応してしまう猫と同じ世界で。


こんなことをはじめた頃はハンドルネームなんて言葉も知らず、
そんな予備知識もない。
「憶えやすいもの?名前だろう」
そんな公式でメールもブログのアカウント名もseikiというのが瞬時にはじき出された。
名前は使い出したときに生命が吹き込まれ歩き出す。
殺してしまうまで変えることはできない。
賢い人なら「あとひとつの人格で遊ぼう」。
リサーチをして別の名前をつけるんだろうが、
そんな智恵も回らない。


それにしてもネットで出会った人が実生活で対面した時というのはどうなんだろう?
相手を呼び、相手からも呼ばれる。
困らないのだろうか?
恥ずかしくならないのだろうか?

「あ。どうも。ファンキー・ママさんですか?
はじめましてodenwa rin linです」
……
「odenwa rin linさんまだ飲まれます?」
「はい」
「すいませんホッピー・セットふたつ!」
「えーと、黒は私で白はodenwa rin linさんにね」

60過ぎのハゲおやじと、生真面目そうなNTT元職員のこんな会話を聞いて、
居酒屋のアンチャン何考える?
聞かれてはずかしくないのだろうか?
走り出してしまいたくならないのか?

ぼくがプロレスラーだったら、
アントニオでも、ラッシャーでも、ストロングでも、ジャイアントでもいやだ。
たとえどんなに強くても、
どんなに弱くてもいやだ。

やくざ稼業でカマイタチの銀二とかモロッコの辰くらいだったら我慢できると。
金庫番の岩蔵なんかもいい。
間に「の」がはいるのはいいな。
妖怪でもアカナメならいいが、ビビビのねずみ男は「の」が入ってもいやだ。

似たような理由なのか。
自分でもわからない。
マイミクだとかメッセだとかトラバだとかが使えない。
横文字の新しい言葉短縮形というのが苦手。
口にすることはおろか、書くだけでも恥ずかしくなってしまう。

昭和のコタツ風景。
「あしたはデケンぞ。8時にアポのあるけん」
父の口からこぼれてきたアポという言葉にぼくは赤面していた。
昭和、コタツ、かごにはいったミカン、学生服、方言。
そこに<アポ>ときた……。


ああ、こんな度胸でこれから乗り切っていくことができるんだろうか?

それともアメリカン・ネームやハンドルネームという名で生きている人たちは、
完全なもう1人の自分になりきってそれを楽しんでいるのだろうか。
誰にも多重人格願望というのはあると聞くけれど。

デストロイヤーもミル・マスカラスも仮面ライダーもヤッタ-マンもあとひとつの自分を楽しんだんだろうか?


ぼくの名前はアメリカ人には憶えることはもとより、
発音することすらむずかしいらしく、
そんな人にはこう教えています。
「Say-Key」
簡単だし、自分の名前を呼ばれるのは憶えてもらえるのはやはりうれしい。


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by seikiny1 | 2010-05-05 08:33 | アメリカ
ペーパーウェイト
「それがさー、講演で日本へ行ったときのことさ。
時間があったから、なんとなく会場準備の様子を見てたんだ。
びっくりしたのは、まず体育館の両端にしゃがみこんだ2人が手にしたひもをピンッとはるんだ。
ギターの弦みたいにまっすぐにね。
次に伸びきったひもに折りたたみ椅子の足を合わせて並べていく。
二人の男は長さをはかりながら横に移動して……そんなことを繰り返していくんだ。
もちろん演壇では歪みを監視する人が小さな修正の指図をしながら」
カウンターの向こうにいるJohnが笑みをまじえて問いかける。
「で、どうしてそんなまねをすんだ?」
「……いや、わからない……」
Davidは苦笑まじりにつぶやいた。



「まったくバカなことをやるよね。さっさと並べちまえばいいものをさ」

「いや、よくわかんねぇけど、
こんなとこからゼロ戦やwalkmanが生まれたんじゃないかい」

「いやー、ほんとだよね。まったく彼らの思考回路はどうなっちまってんだろう」

あの苦笑は何を物語っていたんだろう。



ブロードウェイで信号待ち。
南にはこのエリアの顔、ビルボードが雨ににじむ。
最近はLCDタイプが主流になってきていて、
真ん中の特等席では踊るMichelobの茶色い瓶が2本、いや3本。
上にはTDK、そのまた上に2段重ねのTOSHIBAが、
不規則な積み木のように危うげなバランスで連なっていく。

右肩越しに見上げたTOSHIBAやTDKの赤い文字。
なぜか感じるのは空虚さだった。
20年程前、Cup Noodleのビルボードが登場したときの、
どこか誇らしさにも似た胸の高鳴りが少しだけ再生され、
光る積み木と交叉し離れてゆく。

北には、小雨をうっすらと染めながら移動を繰り返すBarclay Capitalの青い電飾。
少し前まではLehman Brothersの緑色が雨粒を乱反射させていたところだ。

角の”MAXIE'S Restaurantの赤いネオンサイン。
"IE'S" と "ant" の赤い灯が消えてしまっている。
文字の欠けたネオンほど哀しく、憂鬱にさせるものはない。

青に変った信号を渡り楽器屋の前。
「最後のホームレス」と言われている彼、
説得に応じ、ついに廃業してしまったのか、
$4500の値札を下げたダブルネック・ギターの入るショーケース前にいつもの姿はない。


爆弾騒ぎがあったからなのか。
雨降りのせいなのか。
月曜日だからなのか。
季節のはざまに立っているからなのか。
それとも自分を映し出しているだけなのか。
今朝のタイムズスクエアは、予算不足で手入れの行き届かない公園のよう。
ボンヤリと水銀灯が灯っているような。
看板ばかりがやけに目立つ。
パーカーののフードにあたる雨粒を感じながら、
煙の立ち込めるバーで10年以上前に交わされた会話を思い出していた。


仕事場。
四角いペーパーウェイトを書類の辺と平行に直す。
体育館に張られたひもの理由は
「気がすまないから」としか説明できなかった。

ペーパーウェイトがわりの石でも拾いに行こうか。 




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by seikiny1 | 2010-05-04 08:12 | ニューヨーク
ヘンクツオヤジの作り方
60/40。
最近では「ロク・ヨン」と呼ばれたりするらしい。
好きな洋服生地のひとつ。
名前の由来は綿60%、ナイロン40%で織られているから。
こんなネーミングをすることができるのは、
世界広しといえどもアメリカ人くらいしかいない。
もちろんアメリカ生まれの生地です。

元々はマウンテンパーカーなどアウトドア・グッズに使われていたが、
今では街着としていろんな場面で見かける。
強度があり、通気性にすぐれ、防水性も高い。
そんな高機能な生地だけど、
機能だけを考えればゴアテックスの方が断然上。
でも、ぼくはこの60/40という生地が大好きだ。

なぜゴアテックスではなく60/40なのか。
メーカーの事情ははわからないけれど、ぼくに関して言えば
機能に加えて美しい。
というよりも機能を突き詰めたら美しくなった。
(もちろん後づけの理由になるが)
そこにある。
そして、ゴアテックスという生地がありながらも、
かたくなにこの生地を使って製品を作り続けるメーカーも。
製品として成り立っていくこの国も。

見る角度によって「ヌメッ」とした硬い波を打つ光沢があり、
「ゾクッ」とくる。
シルクやカシミヤなんかよりもぼくは魅かれる。

Wallsというブランドの黒い60/40パーカー。
秋以来の長いつきあいも終わり、
やっとクローゼットにしまえそうだ。
昨年に続き、今年も長い間活躍してくれた。
ありがとう。
只今の気温23℃。
とりあえず水曜日まではこの路線が続きそう。


機能美というものに弱い。
機能しないものに美しさを感じない。
博物館のSLよりもくすんだ赤色をした現役電気機関車に、
コロリといってしまう。
特に身の回りのものに関しては厳しい。
機能を突きつめたところに美がある。
そんな哲学が石になってしまっている。
身の回りに鑑賞のためだけに存在するものはない。
根っこが貧乏なのか。
寂しい心の持ち主なのか。

機能美は数式の美しさと似たものがある。
文庫本一冊すら入れることのできないダウンジャケットは道具ですらない。
「カッコ悪い」という価値観の人もいるが、
結構ポケットにモノを入れて歩く。
だから一時期はやった、
Ralph Lauren  Poloのシャツは嫌いだった。
ペンがさせない。
タバコの入れ場所に困る。
ボタン・ダウンを着るのならやはりBrooks Brothersか。
Ralph Laurenの作り出す服は今でもカッコいいと思うが、
彼の罪は、
あのシャツを着るだけで男たちを「おしゃれになった気」にさせたこと。
この罪はチト重い。
男たちは胸もとの刺繍に自分のすべてを委ね、安心してしまった。

ちなみに当たり前の話ですが、
昔、昔の洋服にポケットはなかった。
不便だからつけた、物を入れるために。
そして、カッコ悪いから取ったり、物を入れなくなったり。
さすがにすべてのポケットをモコモコさせて歩いたりはしませんが。
歩きにくいから。
機能的ではない。

ちょっと軌道を修正。
こんなにガチ、もしくはガチガチになってしまったのは
育った時期もあるだろう。
Gパンと米軍放出衣料が入門編で、
感受性豊かな頃には<ヘビー・デューティー・ブーム>というのがあった。
登山服や、労働着がカッコいいというブーム。
もちろん機能的に悪いはずはない。
命や作業効率にかかわる道具なのだから。

環境や、その後自分が好んで選びとったモノたちが
こんな大人を作り上げ、
そんな環の中でグルグル回っている。
中身も、外側も。
人はきっとこの環のことを悪循環と呼ぶだろう。
最近の言葉では負のスパイラルか。

その反面、実用書とか啓蒙書などにまったく食指は動かず、
そんなセミナーなんかがあると口元をゆがめて笑っていたり。

姿とは<次>の<女>のことなのか。
<女>の<次>に大切なものなのか。
最初は全然違ったことを書くつもりだったのだけれど、
この辺まで書いてきて自分のヘンクツさに少し呆れます。
ついでにもう少し。

そういった次第で、
ぼくは和太鼓奏者の手が大嫌いです。
まっすぐに天を指し、静止したままの姿に一片の美も感じることができない。
「おい!誰も見てねーぞ、背中なんて!」
見えるのはナルシストの文字だけで。
昔見た、林英哲さんとはまったく別世界。
剣道の残心はわかるけれど、
いったいいつからあんな<美>の世界が展開し始めたんだろう。


今日、明日とBrooklyn Botanic GardenでSakura Matsuriというのが開催されます。
桜は観たいが和太鼓はね……。
知り合いがほかのパフォーマンスで出るから、
行くには行くと思うけれど。
今年はアメリカも桜が早く、
先週金曜の時点で散り始めてたからSakura Matsuriになるかどうか。
(植物園の会員なのでよく行くんです)




ちょうど一年前の今日もこんな天気だった。
台所の窓からはやわらかな陽が差し込み鳥の声が聞こえていた。
「ん……?……!」
Yahooのトピックスが変な文字を並べている。

忌野清志郎さんが去られてから1年。


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by seikiny1 | 2010-05-02 00:49 | 思うこと
縁。奇縁。
毎度思うのですが、人と人との結びつきってすごいなー、と。
「この人と会っていなかった……」
いいこと、悪いこと。
すべてひっくるめて縁。

神様はすごい!
おまけに最近ではネットの世界にも神様は棲んでおられるようで。
でも、縁があっても大切なのは「ピピッ」とくること。
そんな「ピピッ」が残って友達になって、
1+1+1が17くらいになったりしてゆく。
もちろん、たまに「あれれ」と思う人もいて、
-3.5になったりもするけど、
きっと死ぬまでにはバランスよくゼロ。
プラスもマイナスも残さずに死にたい。
あっさりとね。


<A>もしトーチャンとカーチャンが出会っていなかったら。

<B>もしあの店で古着と格闘していなかったら。

<C>もしホームレスという体験をしていなかったら。
 1 あの鋭敏・過激なアンテナに引っかからなかったら。
 2 韓国料理屋テーブルの一番離れた場所でテレパシー交信をしなかったら。



信心深い人には怒られてしまうかもしれないけれど、
ぼくは神様が大好きです。
GODではなく。
神でもなく。
ほら、そこにいる神様が。



そんな<A>と<B>と<C>1と<C>2が同じ日(5月2日)に東と西でライブをします。
日本はゴールデンウィーク真っ最中のようですが、
よかったら行ってみてください。
楽しいですよ!

〓〓〓〓〓〓〓〓〓

<A>&<B>
■『虹の岬祭り』■
(ボンガーズは5月2日18時から演奏)

今年20回目を迎える虹の岬祭り。
大分県の南部に浮かぶ島(大分県佐伯市蒲江町屋形島州の浜はまゆう公園)で開催されます。
期間:2010年5月1,2,3,4,5日

*従兄弟:<A>>と親友:<B>のブルーズバンド・ボンガーズ。
*1日には東京からRainman(C2号弟子筋)がやってきます。

詳しくは



<C>1号&2号
■清志郎追悼LIVE■
~吉祥寺 ROCK'N ROLL SHOW~『ボスからのRADIO』


●5月2日(日曜)

●OPEN 18:30 ●START 19:00 

●出演
 ★メコシキ
 ★酔いどれ天使
 ★CHHHIN TYHHHOS
 ★Chain Smoker

●¥3000-(飲み放題)


吉祥寺ブラック・アンド・ブルー
(吉祥寺駅北口より徒歩1分)
地図


*CHHHIN TYHHHOSはタイマーズのドラマー:パァ(杉山章二丸)さん:<C>2号、ルポライター:藤井良樹さん:<C>1号が組んだ犯罪歌謡パンクバンド。
当日は、ザ・タイマーズの今ではまず聴けない&完全放送禁止であろう、あの曲やあの曲も、 RCのカバーも演られるとのことです。
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by seikiny1 | 2010-05-01 07:44 | 日本
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