ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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2010年 04月 07日 ( 1 )
バカ
「漫画を読むとバカになる」
幼い頃のインプットはすごい。
自分のことは棚に上げ、
マンガ本を手に歩く人を見かけると、
『バカ』
という言葉が浮かぶ。

ウチの親はそんな人でした。
漫画が載っている『小学●年生』が欲しかった。
でも、やってくるのは学研の『科学』と『学習』。
付録がおもしろく、それはそれでよかったのだけれど。

『ハレンチ学園』
『おそまつくん』
『キッカイクン』
『あしたのジョー』
『天才バカボン』
そういったわけで漫画はいつも
5歳年上の従兄の部屋で読みふけっていた。

高校生になると喫茶店が漫画を読む場所に。
漫画を読むために喫茶店へ行くとはいっても、
あくまで喫茶がメインで漫画はサブ。
入店するや
「今日はお泊りですか?」
なんて聞かれたことはなかった。

でも、この先、喫茶店の本流は漫喫になっていくのかもしれない。


HANAMI。
そんなものを初めとするニューヨークでの日系イベント。
常連といえば、
なぜか高々と腕を振り上げる和太鼓だけれど、
この3年ほどあとひとつの常連が加わり年々増殖している。

初めて見たときは、
「春の陽気に大量発生したキチガイか?」
と驚きもしたけれど最近はすっかり慣れてしまった。
常々思うのだけれど、
慣れ、馴れ、そして狎れっておそろしい。
麻痺、常用、そして中毒っておそろしい。

どうやって情報をチェックしているのだろう?
どこからかにじみ出てくるコスプレ軍団。
動物の本能に忠実なのか不思議と群れをなす。
ひとつではなく、
ここにも、あそこにも、あっ、あんなとろろにまで……。

ヒラヒラ・フリルに埋もれカツラをかぶった姫様。
あれは忍者か騎士か、それともカンフーか。
巨大なはりぼての鎌と未来の刀のようなものでチャンバラ中の人。
木にくくりつけられた団旗のようなものの下に集まる同志たちもいる。

彼らにとっての日本。
TOYOTAでもSONYでもPearl Harborでもなく、
MANGAの国。


受け手が発信者を引っ張ることがある。
そんな波を感じたのか。
3年程前に新装開店をした紀伊国屋書店ニューヨーク店。
2階の大半をコミックスが占め、
いまやMANGA君、MANGAちゃんたちのメッカ的様相を呈しつつある。
アメリカ人客がかなり増え、しかも以前では見られなかった若い層が多い。
かたやBook OFF。
こちらも新刊本を買えない貧しいぼくの境遇に似た少年少女が巣食う。
しかも立ち読み大歓迎ときたものだから、
彼ら、彼女らにとってはまさにHeaven。


普段使うP図書館は自宅近所にある小さな分館。
そんな施設でさえMANGAのみで埋められた本棚が6本。
1段に約50冊のコミックスが入る棚が各5段、
約1500冊の蔵書を持つ計算となる。

P図書館の午後3時。
1人、2人……。
学校帰りの少年、少女によるテーブルの占拠がはじまる。
次第に大きくなっていく声。
係員の注意が飛ぶ。
小声にはなるがやはり高まる感情を抑えきれないのか……。
また注意。
そんなことを延々と続けていく子供たち。
ちなみに図書館でのMANGAの分類はGraphic Novel。
ちなみにアメリカの図書館ではみなさん平気で飲食をする。
昨夏に見たこれまで最大の猛者は、
新聞紙(自前)をテーブルに広げ丸ごとスイカを切り出した。



ホームレスをやめてから日本へ帰った回数=3。
2004年、2009年、2010年。
そのたびに、
「あーマンガ読む人が少なくなったなー」
そんなことを思う。

ホームレスは経済に敏感だ。
街に落ちているものからその時の経済状況をつかむ。
たとえばシケモクの長さ。
たとえばスニーカー底の減り具合。
発行部数、実売部数なんかも出版社発表のものよりずっとあてになるのでは。
帰国中に何度か目にした漫画誌を集めるホームレス。
急激・確実に冊数が減ってきている。

かわりに増えているのがピコピコ。
電車でピコピコ。
ホームでピコピコ。
横断歩道でピコピコ。
歩きながらピコピコ。
Tweeterの普及でこのピコピコもっと増えるだろう。

「外国人が見たら恥ずかしい。いい齢をした大人が……」
識者と呼ばれる人はかつてそんなことをのたまわっておられた。
さて、現在、電車内の風景を外国人に見せて恥ずかしくないのだろうか?
あれは、あれ。
これは、これ。
識者と呼ばれる人は「文字離れが……」などと嘆いておられるのだろうか。
「おかしいぞ。ここはMANGAの神国なのでは……」
アメリカの若者に限って言えば、
今の車内風景を奇異に・寂しく思う人も多いはず。


さて20年後、マンガの世界地図はどうなっているだろう?
マンガは間違いなく文化だ。
頭が悪くなるかどうかはわからないけれど、
文化であることに疑う余地はない。
マンガは消えてしまうのか?
それともMANGA読者のために作者はせっせと書き続け、
逆輸入商品を買う日がやってくるのか。
かつてのHONDAのWINGのように。


「マンガを読むとバカになる」
そんな言葉を真に受けた政治家が長期戦略として、
海外でMANGA普及につとめてきたのであれば
「あっぱれ」の言葉を送りたい。
この伝でいくとアメリカという大国を確実にパーにする、
そんな勢いだから。



あ、またバカが通っていく。





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by seikiny1 | 2010-04-07 09:08 | 日本とアメリカと
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