ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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ステップ
朝、いつものように一つだけ電車をやり過ごす。慌ただしく乗り降りする人たちから少し離れて立っていた。
車両の扉の下に何気なく目をやると、そこには車体から少し出っ張ったように鉄製の板が渡されている。編目模様に彫られた滑り止めの角は、何百、何千万組の足に踏まれすり減ってしまっていた。

こんな目付きを数年前にしていたことがある。
イタリアの古い教会の脇に佇み、塔へと続く大理石製の階段に見入っていた。
数百年もの間、こちらも何百、何千万組の足に踏まれ続けてきたのだろう。人がようやくすれ違えるほどの階段は、どの板も、ちょうど真ん中のあたりがすり減り、緩やかな孤を描いている。人間の力。時間の永続性。信仰心。そんなことを考えさせられる、薄暗がりにあるくすんだ階段だった。

地下鉄のステップと教会の階段。どちらも同じ光沢を持ち、艶をたたえている。
大理石の階段は、これからもたくさんの人々を天に近い場所まで運び上げるのだろう。

次の電車が入ってきた。
まだ角の荒々しさの残るステップを踏んで乗り込む。表情のない録音音声が次の停車駅を知らせる。
この街からも消えつつあるものがある。それでも人々はステップを踏み続ける。少しでも前へと進むために。
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by seikiny1 | 2008-04-17 00:41 | 日ごろのこと
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