ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
お願い
当サイト・メインコンテンツ内にある全ての著作権は筆者に帰属いたします。無断転載及び流用は固くお断りいたします(トラックバックに関しましてはこの限りではありません)。
以前の記事
カテゴリ
月末仏教徒
月の終わり、街ではさまざまな不用品と出会うことができる。

「ちょっと、ちょっとあなた」
(おっ、なにかあるな)と思いつつ、通り過ぎようとする僕を誰かが呼び止める。その声はありがたい天からのものではなく、過去数十秒間、僕の視界の中にいた女性の口から出ていた。時は、蒸し暑い日曜日の昼下がり。処は、車も人もあまり通らない住宅地。
「こんなところを見知らぬ男が歩いていたら、泥棒の下見か変質者と思われるかな?」、と数分前に考えていたところだった。

「えーとねー、えーとねー」
 フェンスにぶら下げてあるプラスチックバッグの中をまさぐりながら女性はなにやらつぶやいている。
不要な物を袋に入れ、フェンスにぶら下げておく光景はこの街ではそう珍しいことでもない。小さくなってしまった洋服、聴かないレコード、買い替えでお役ごめんとなったエアコンなどなど。誰かにとって不要な物でも、他の誰かにとって価値があることは珍しくない。ただ、そういう暗黙のシステムが機能するか、しないかというだけで。
「これでしょ、それとこれ、まだあるはずだけど……。ところであなたってブッディスト(仏教)だよね」
 もちろんこの女性とは初めてお会いしたわけだけれど、葬式ブッディストの僕は浅く首を縦にふる。熱心な信者ではなく、今のところは葬式や法事、困った時にしかならないけれど、この先はわからない。実は「般若心経」を一巻持っている。それというのも、父親の死の後に初めて帰国した折りにお寺さんでいきなり詠まれたのがこれだった。
「なんかポピュラーでありがたみがないな。坊さんズルしてんじゃないのー」、そんな疑惑のもとに買い求めたのがこれだった。その内容はいまだに解明はできていないが、とにかくうそをついたわけではないし、興味はある。この出会いだってきっとなにかの縁だろう。
 東洋人を見ると、ついついブッディストと思ってしまうアメリカ人も決して嫌いじゃないことだ、ありがたく受け取ることにした。

 彼女に手渡されたのは合計5冊の本だった。どれも仏教関連のもので、その中には見覚えのあるエンジ色と黄色の写真が。ダライ・ラマの本だった。
「ステップサンがこの間引っ越した時に置いていったのよ。無駄にならなくてよかったわ。あなたに会えてよかった」

 まだ読み始めてはいないけれど、これもなにかの縁。以前から思っていたのだけれどダライ・ラマと僕のじーさんの顔は似てるな。

 生まれ変わりというものはあると思う。
 縁というのも確かに存在する。これだけでも立派な仏教徒なのかもしれない。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓
○この記事を読まれて<なにか>を感じられた方。
ここを押していただけたらうれしいです。
[PR]
by seikiny1 | 2007-08-27 08:33 | 日ごろのこと
<< ナポレオンにはなりたくない The Dock of the... >>
記事ランキング 画像一覧