ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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春がはじまり、そして冬はおわる
地下にいると気温以外から季節を感じることはあまりない。
それでもよくよく眼を凝らせばあちこちに春の訪れがある。
次に来る電車を待ちながら天井を見上げてみると、群生したエノキのように小さく白いツララが一直線に並んでいた。
冬のなごり。
凍結予防のためにまかれた塩が、雪融け水と、雨水と一緒に地下へ落ち、駅の天井から染み出して固まっている。
硬そうだけれど、先が丸っこい塩のツララたち。
夏になるといつの間にか消えてしまい、しばらく経つとまた生えてくる白い逆キノコ。

いつもと違う電車に乗ってみた。
ブルックリンに入りしばらくすると電車は地上に上がる。よくあることだけれどそこで五分ほど停まってしまった。駅でもないのに。

電車の中では本を読まない。
窓の向こうには「手入れがゆきとどいている」とはお世辞にも言えない庭が座っていた。
錆びた自転車が軒下に立てかけられ、夏の間バーベキューの時に活躍したであろうプラスチック製の白い椅子が三脚転がっている。枯れた小さな池の向こうには不ぞろいな植木鉢がてんでばらばらに倒れている。

それなのにそこにはどこかアタタカでほっとさせてくれるものがあった。
かつては雄大な枝振りであったことを想像させる先が折れてしまった数本の太い枝。背丈も決して高くはないけれど、数十年前には艶やかな後姿を見せていたであろう、太くそしてうねりを持った幹。
そんな桜の老木が薄日を浴びながらいくつかの淡い桃色の花をつけている。

その樹を、その花を見ながら母を思い出していた。

女性はいくつになっても華がある。

さて、「父は?」
しばらく考えていると、表面に青々とした苔をたたえた太い切り株が目に浮かんでくる。

この街にもやっと春がきた。

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by seikiny1 | 2007-04-04 13:45 | 日ごろのこと
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