ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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一月一日(としのはじめ)
 ノートを開いて一番最初にすること。
 それは日付けと天気を書き込むこと。
 今日、初めて「06」という文字を書いた。「あと364回この文字を書くことになるんだ」、そんなことを考えながらしばらくの間鉛筆がそこで止まってしまった。
 これが僕の一月一日。としのはじめ。天気は曇り。
 このノートは新年のためにおろした物ではなく、昨年の12月23日におろした物。ノートの上で二つの年がつながっている。一年前の今日「05」という文字を書き込んだ時にこんなことは考えなかったように思う。小さなことだけれどこれが僕の一年間の成長と言えないこともない。

 もう何度も書いていることだけれど、人混みが苦手だ。いや嫌いだ。
 二十年という歳月は耳で聞くと長いようにも聞こえるけれど、その中に住み暮らしてみるとそうでもない。片手で数えてみても手のひらをたったの二回開閉するだけで終わってしまう。その開閉の間、僕は一度もニューヨークの年末年始の恒例行事であるタイムズ・スクウェアのカウントダウンへ行ったことがない。これから先も行くことはないだろう。昨夜はテレビを観ながら、
「もし誰かが『200ドル払うから行ってくれ』と頼んできたらどうする?」と訊かれた。
「行かない」と僕の口は動いていた。

 人混み(僕の中では人『ゴミ』なのだけれど)嫌い云々ではなく、あの「5,4,3,2,1  A Happy New Year!」という行為自体が嫌いなのかもしれない。僕は引き算が嫌いだから。そういう中に身をゆだねることを本能が嫌っているのだろう。
 宗教のことは勉強したこともないし、語る資格はないかもしれない。それでも生まれ育った日本の風土や文化の切れっ端から仏教の影響を感じることがある。この年末年始に頭に浮かんだのは<輪廻>という言葉。生まれ変わりということを信じるでもなく、信じないでもない。それでも僕の頭の中で<環>という言葉がだんだんと重くなってきている。「すべての事柄は環を形作っていて、必ずどこかでつながっている。つなげていかなくっちゃいけない」、そんなことを感じ考えることがよくある。
 大晦日という日はひとつの終わりであることに違いないけれど、同時に始まりと薄い紙一枚で背中合わせ。そのどちらもが裏であり表でもある。そんな空間が僕の中にある。大晦日と元日はカレンダーの最後の一枚でも最初のそれでもない。ただそこにある大切な節に過ぎない。それだけのこと。僕は頭の中で12月31日午後11時59分59秒の一秒後に古いカレンダーをゴミ箱に放り込み、新しく壁にかけたカレンダーの最初の一枚をめくることは出来ない。「31」という数字の書いてある紙をめくったら「1」という赤い数字が見える。あと三百六十五枚をめくるとまたその赤い文字に巡りあう。現在はいつも過去と未来の間だけにある。
 生きていくということは、それぞれの人が決められた枚数のカレンダーをめくっていくということなのかもしれない。たまに忘れて数枚を一時にめくっても、間違えて重ねたままめくってしまっても自分ではカレンダーの枚数そのものを増やすことも、減らすことも出来ない。
 カレンダーをめくるという行為は引き算に見えるかもしれない。でも僕は残り少なくなっていくカレンダーの厚みを見るより、机の上で日一日と厚みを増していく破りとられてしまったものを見る。

♪年の初めのためしとて
終わりなき世のめでたさを
松竹立てて門ごとに
祝う今日こそ楽しけれ♪(『としのはじめ』)

 なぜか正月になるとこの歌が口をついて出てくる。子供の頃、正月になるといつもテレビから流れていた歌。
 三つ子の魂百まで。
 今日はどうしたわけかこの歌詞をノートに書いてじっくりと読んでみた。これが日本人の一月一日という日のとらえ方なのかもしれない。

 元日の真夜中に打ち上げられた花火を窓から見ていた。それでもラッパを吹くことはこの先もなさそうだ。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『ボヤキTV』というのができました。

 ニューヨークの日系誌に三年ほど連載している僕のコラム『犬のボヤキ』とこのブログをあわせたようなコンセプトで作っていただいています。ニューヨークの街角でブツブツと言っている動く僕を見ることができます。
 正直言って「観て欲しい」と「観ない方がいいんじゃない」という気持ちが半々です。

 まぁ、これからもボヤいていきます。直らないでしょう。



『ボヤキTV』》←コチラです!
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by seikiny1 | 2006-01-02 12:28 | 思うこと
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