ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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ロック魂<3> ーsoulー
 →前回よりのつづき

 工事現場で働く人、塾に通う学生達、スーツという制服に身を包んだ人達、ストリートでダンスをする若者達、子育てに忙殺される母親、定年を迎えてもネクタイのない首まわりが気になる人。誰だってロック魂を持つことはできる。

 僕の身近でロック魂を一番感じさせてくれる人。話がまた音楽の方に逆戻りしてしまうけれど、彼が僕にとってロック魂を一番感じさせてくれる人なのだからしょうがない。
 彼の名前は『白浜久(ひさし)』
 僕が(失礼ながら)、soul brotherと思い込んでいる男。
 ジョン・レノンは「《元》ビートルズの……」と紹介されることを嫌った。僕もそうだけれども、それ以外に看板のようなものがないので現状ではそれに甘んじている。いつの日か外そう。
 さて、白浜さんはどうだろう?
「彼も《元》で語られることを嫌うのでは?」、という勝手な判断で過去に所属したバンド名はここでは書かない。それはそんなに重要なことでもない(興味のある人は調べてみて下さい)。
 博多での大学時代に<めんたいロック>の一翼をなすバンドの第一期ギタリストとして参加。大学卒業後は少年院の法務教官に。しかし、その若いロック魂を押さえ込むことができずロック界に復帰。ソロ活動と共に、某バンドの第三期ギタリストとして参加。武道館のステージを踏む。現在、俳優としての活動の方が知られるボーカリストに「あの頃、『初めて自分が音楽をやっている』、という実感が持てた」と言わしめる。
 その後再びソロ活動に。並行して福山雅治、ユニコーンなどをプロデュース。近年は音楽学校の講師などもつとめ後進の育成に力を注ぐ(音楽学校での毎年最初の授業は<歯で弾くギター>)。少年・非行問題にもことのほか造詣・問題意識が強く、その方面での活動も多岐にわたる。この秋から予備校講師のかたわら、福祉問題に取り組むためにソロ活動を封印。

 そして去る12月8日。東京九段会館で開かれた『ジョン・レノン追悼大集会』で約百日ぶりにステージに立った。
 もちろんロックが、音楽が好きで、好きで、ずっとその道を歩んできた人だ。その姿勢はこれからも変わることはないだろう。それでも彼がこの道を歩く姿はまるで求道者のように僕の目に映る。ロックとビジネスの狭間で悩み、どこかに到達してもそこで満足することなくいつも自分にむち打ち歩き続ける。
 ロックの中に彼はなにを見つけたのだろう?
 そのひとつはやはりロックというエネルギーの根源にある叫びなのだろう。人の叫び。青少年の叫び。悲痛な叫び。だからこそ彼は苦しむ彼らの前を素通りすることができない。それは欲のためでもなく、得のためでもない。彼の魂がそれを許さない。目をつぶって通り過ぎ、その先にある札束をつかむチャンスは何度となくあっただろう。それを彼の魂は許してくれない。
「みんな再結成してるけど、後戻りする気は全然ないんだよね」、とかつて彼は言っていた。

 そして百日ぶりのステージ。
 聴衆として客席にいた人は言う、
「ひいき目に見たからかなぁー?それでも白浜さんはすごく輝いていたよ」
 彼自身も「生涯で何本かの指に入るいいステージだった」と振り返る。しばらくその興奮は続きそうだ。
 わき目もふらずまっすぐに走り続けるのもロックンロール。そして白浜さんのようにその道で得たものを別の場所にフィードバックし、そこで得たものをまたロックにフィードバックしていくのもロックンロール。決して意図されたものではないけれども、それこそが彼のロックンロールなのだと思う。
 ステージではその魂のすべてを(自分自身も楽しみながら、だからこそ)聴衆、同じくロックの道へと足を踏み外してしまった心温まるステージのメンバー、そしてスタッフへとフィードバック、と同時に大きなフィードバックもまた受ける。<しばらくその興奮が続いている>のはそれの消化中であるということだろう。
 生きる姿勢のすべてからロック魂が伝わってくるmy soul brother:白浜久さん。自分ではまだお気づきではないかもしれませんが、僕はビシビシと『Hisashiの魂』を感じますよ。
 なによりもロックンロールという音楽をこの上なく愛している。かといってその姿から過剰な意気込みは感じられない。去年観たソロライブ、田中一郎さんとのステージでは本当に楽しそうな顔をしていた。永遠のギター小僧がそこにはいた。12月8日もきっとあんな顔をして唄っていたんだろうな。

「演奏もよかったけど、その歌が最高だった。その言葉ひとつひとつに胸を打たれた」
 何万回同じ歌を練習してもあるレベルより上に行くことはできない。歌は魂(soul)で唄うからこそ人の心を打つ。soulは追いかけても決して手に入れることはできない。たくさんの寄り道、回り道をしなくちゃ。そこで<生きて>こそ手に入れることができる。

 遠い空の下から静かな男:白浜久さんに拍手を送った。


 Hip Hopにもロックと似たようなところがあるのかもしれない。
 そこで生きた者にしか手に入れることの出来ないなにか。
 また、テレビで観たRapミュージシャン(ロック魂<1>を参照ください)の言葉を思い出す。
“Hip Hop is where you are.”
“Rap is what you do.”
 最初の部分をRockに入れ替えてみても十分納得がいく。

 いつも“Stuck between a rock and a hard place”だけれど、そこが自分の歩く道。それがいつの日か魂の領域に届けばいいと思う。





《白浜ひさしHP》

<『ロック魂』おわり>
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by seikiny1 | 2005-12-12 13:49 | 思うこと
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