ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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変化しているようでそうでもない
 ちょうど昨年の今頃日本へ帰った。約十年ぶりの日本。
 沖縄で、福岡で、東京で酒を飲んだ。あれだけ誰かと毎日のように外で酒を飲んだのはどれくらいぶりなんだろう?

 興味のあった発泡酒も飲んでみた。点数は<マァマァ>。値段があと少し安いなら合格点。あの値段と、あの味のバランスを考えるとやっぱりビールの方に軍配を上げたくなる。その土地の生活者ではなく、素通りする人間だからこそこんな無責任な事が言えるのかもしれない。生活する身にとっては、数十円でも惜しい。こんな事を言っている僕だって、ニューヨークでは少しでも安いビールを探して歩いているんだから。

 僕の地元では、皆が集まって開く酒盛り(これも素敵な言葉だと思う)、飲み会の事を<飲み方>と呼ぶ。前回の日本では、寝る前に飲む数本のビールの他はほとんどが外酒。友達で集まってやった家酒の<飲み方>は東京でのたった一回きりだった。
 誘われて、予定された日に友人宅の玄関をくぐった。すでにはじめている先客たち。初めての人だったけれど、自己紹介をしてすぐ酒になる。
 部屋に入って最初に感じた事が、「<飲み方>のやり方も少し変わったな」、ということ・
 座卓には数本のお茶の入った大瓶のペットボトルが並んでいた。
 焼酎ブームの真っ只中ということもあり、焼酎が数本。
 紙パックに入ったお酒も数本。
 以前、日本ではあまり見かけることなかったウィスキーの大瓶。
 そんな光景に、少しだけ違和感を感じながらも根が好きなものだから杯を重ねる。

 次から次に人が玄関から入ってくる。座卓を中心に、皆が思い思いの場所に陣取り飲んでいる。つまみは乾き物、お総菜屋さん直送のもの、お刺身、キムチの大瓶そんなもの。部屋の持ち主以外は、お互い知り合い同士というのはすくなかったけれど、男中心の<飲み方>ですぐに場がくつろいでいく。
 部屋主のガールフレンドがこまめに飲み物を作ってくれる。ありがとう。
 プロレスラーのような身体をした本業がSPという男性は、背をちょっと丸め気味にして携帯用灰皿を片手に持ち申し訳なさそうにタバコを喫う。
 プロのキックボクサーは年末のタイトルマッチに向けての夢を語る。
 熟練のミュージシャンは目を輝かせて音楽のことを語りながら、周りへの気配りを忘れない。
 有名な空手家の投げるダーツの矢は、放物線ではなく直線を描き的に突き刺さる。
 昔、NYにいた、という男性は知り合いの、知り合いでついつい話が盛り上がってしまう。
 コスプレ雑誌の編集長とアダルトビデオの監督は裏話をしてくれる。

 昔と変わったようで、それほど変わってはいない。
 遠い昔だって、人が集まって、卓を囲んで飲む酒はきっとこんなものだったのだろう。これからもそう変わることはないだろう。テーブルに上がるもの、タバコのマナーなど小さい事は常々変わり続けていっても、皆で飲む酒というのは変わりはしない。
 人は、酒を飲むためだけに集まってくるわけじゃない。酒はたった一つの道具に過ぎないのかもしれない。人の環のことを考え、何かを確認しながら、そして楽しい空気の一部分となるために人は集まる。そして酒を飲む。
 いつの時代でも、どこの場所にいても、どんな人が相手でも変わることのない<飲み方>。そんな飲み方を大切にしていきたい。変化が激しく、速い時代にあるだけにこんな<飲み方>が大好きだ。悲しい酒、苦しい酒ではなく、楽しい酒をもっと、もっと増やしていきたい。

外酒の<飲み方>もいいけれど、家酒の<飲み方>の方が好きだ。

 ひとりで飲む酒もまた美味い。
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by seikiny1 | 2005-10-08 08:01 | 日本
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