ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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カウンター

 飲み屋へ行ったら必ずといっていいほどカウンターに座る。
 そこへ行けばその店のこと、大体の雰囲気がつかめ、見知らぬ人と話す機会も増える。なにより注文しやすいからすぐ飲める。人の話を小耳にはさんだり、とそこにいるだけで楽しい時間が過ぎていく。

 数秒の差で電車を逃してしまった。近所の地下鉄駅。
 いつものように、小さな突起で仕切られただけの木製の長椅子に腰を下ろし待つことにする。三人の先客がいた。六人がけのそれにはポツポツと皆が離れて座っていた。僕が腰を下ろしたのは、中国人男性と黒人男性の間。僕のお尻が椅子に触れる前に中国人男性はわき目もふらず一番端の席に腰を滑らせる。まるで何事もなかったかのように、中字新聞を読み続ける。座る時に黒人の男性に少しだけ肩が触れた。“Excuse me”僕が言うと、彼は目で笑ってかえしてくれた。
 電車が入ってきた。別の行き先だ。
 反対側の端に座っていた女性が立ち上がり電車に乗り込む。そこに二つ連続した空席が出来た。黒人の男性は微動だにしない。階段を下りて別の中国人男性がこちらへやって来る。まっすぐに、先客の中国人男性の隣を目指して歩いてくる。腰を下ろすなり、先客の新聞に首を突き出すように覗き込む。
 三分もすると空席の目立つ電車が入ってきて、皆がパラパラと乗り込む。あの中国人男性はまた先客の隣に腰を下ろした。新聞を覗き込む格好も前のままだ。もう一人の中国人男性は「われ関せず」の体。

 空席がある電車でも立つことを好む人がいる。
 ちょっとの隙間を見つけてお尻を押し込む人がいる。
 シルバーシートに腰を下ろして、ご老人が周りにいてもそ知らぬ顔の人がいる。
 飲み屋のカウンターに、「オーバーブッキングだろ」と思わせるほど椅子を並べる店があると思えば、立ったまま平然と何時間も飲み続ける人もいる。
 そうかと思えば、日本にも立ち飲み式の酒場が増えだしているという。
 ラーメン屋の中には、カウンターを仕切って<集中して食べねばならない>という店もあるらしい。
 飛行機のエコノミークラスで、両方の肘掛けをわがもの顔で占領する人がいる。
 長距離バスのシートをリクライニングにしようとすると、後ろで「倒させまい」、と足を突っ張る男がいる。かと思えば、最後尾の座席では三席を占領して横になっているやつもいる。

 人が人といる以上、触れ合わないわけにはいかない。いくら拒絶しても触れ合わなければならない場面に必ず遭遇する。物理的にも、精神的にも一人では生きていくことはでないし、そうであって欲しくはないと思っている。そしてふれあいから何かが生まれることのなんと多いことだろう。
 人のことはまったくわからない。しかし、お互いに不快感がなければ触れ合うことを僕は厭いはしない。気分によってはそれが心地よい時だってある。誰かの隣に腰をおろしてみなければわからないことだってある。
 彼我の距離、その関係は長椅子や飲み屋のカウンターに似ている。様々な個性、駆け引き、やりとりがそこにはある。
 テーブルだってもちろんいいのだけれど、知らないものを知るにはカウンターの方が好きだ。
 特に飲み屋のカウンターが。
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by seikiny1 | 2005-09-13 07:53 | 思うこと
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