ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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こぶしのおろしどころ
「カーンッ」
 ゴングの音とともに両者は闘うのをやめ、それぞれのコーナーへと戻る。ボクシングには、たとえそれがどんな場面であろうともふりあげたこぶしを強制的に止める権限を与えられたゴングというものが存在する。ごくまれではあるけれど。それでも止まらない時がある。そんな時彼はボクサーでも、人間でもなく、動物としての本能のみででこぶしをふるい続けているのかもしれない。

「誰かに止めてもらいたい」
 自分の行動に百パーセントの自信がない時、罪悪感にさいなまれている時、それを置く場所を人は探す。人間という動物がこぶしを下ろす場所はなかなか厄介なようだ。そこは誇り、意地、メンツ、見栄、立場……、様々なものを納得させる事が出来、自他共に譲歩が可能な場所でなければならないようだ。そういったこぶしの下ろし場所を誰もが探している。当事者が考えているほど周りはその場所については深くは考えていないのだけれど。
 誇りある者(?)は常にそれを探している。あまりにも周到すぎる準備というのは好きではないのだけれど、あらかじめ下ろしどころを確保してこぶしを振り上げるのも今の世の中では仕方がないことなのかもしれない。昔から、戦略の基本にあるのは相手が逃げることのできる道を作っておく事。この事を忘れてはならないだろう。どうしようもない時、相手にこぶしの下ろしどころを見つけてあげるくらいでなければ争いがいつまでたっても終わらない時もある。それがない時、それは泥仕合となってしまう可能性が高い。お互いにやめたいけれど、やめられない。

 振り上げたこぶしをスッと引っ込める。これはこぶしをふりあげる事、撲り続ける事以上に勇気のいる行動だと思う。たとえ勝っていようが、負けていようがこぶしを引くことの出来る人を尊敬する。そういった人間にいつかなれることが出来たらば、とも思う。引き際の鮮やかさ、というのはやはり美学なのだろうか。ごたくを並べることなく、サッとひく。こんなにかっこいい、素敵な行いはほかにはないと思うのだけれど。

 UNは形骸化し、対立しているかに見える大国もまったく頼るに足りない。唯一のこぶしの下ろしどころ、と思っていた前ローマ法皇は亡くなられた。今の法皇はどうなのだろう?もうバランスが崩れっぱなしだ。
 アメリカはふりあげたこぶしをどこに下ろせばいいのだろう?なければ見つけるか、創り出すかしなければ。本当はもう下ろしたいのだと思う。全軍イラクから撤兵してハリケーン被害に遭った国民を救出すればよいのに。現大統領に、そんな勇気を求めるのは土台無理があるのかもしれない。

 靖国問題、竹島問題、教科書問題、そして中国、韓国による反日デモ。
 小泉さんは、ある意味では賢い首相だったのかもしれない。そんなこぶしを軟着陸させる場所を作った。反日デモが予想されていた日本の終戦記念日の直前に。彼らはふりあげたこぶしを小泉さんに下ろす事は出来なかった。彼は消えてしまった。そして彼らの大義名分も一応はたった。
 郵政民営化法案が否決され、衆議院の解散の報に接した時、吉田茂元首相の<バカヤロウ解散>を瞬時に思い出した。小泉さんは心中で間違いなく「バカヤロウ解散だ!」と叫んでいたはずだ。僕の予想では彼が再び総理の座に付くことはないと思う。そのために、用意した(された)花道がこの解散なんだろう。これをする為に、最悪の時期を切り抜けるために最後まで郵政民営化法案を温存していたとしたら、彼は大したタマといえないこともない。少なくとも、不本意ながらも、誰もがこぶしを下ろすことが出来たのだから。
 さて、とりあえず急場はしのいだ(日本はいつもそうだから、根本的な解決にはならない)。まぁ人安心だ。しかし次にこぶしをふりあげられた時、その時の政権はそれらをどこに下ろさせるのだろう?とてもとても興味深いです。
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by seikiny1 | 2005-09-03 07:10 | 日本とアメリカと
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