ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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さぁ、飛び乗れ!」、そして……。
 初めてニューヨークでバスを降りた翌日、三十四丁目にあるメーシーズ・デパートへと出かけた。以前に何かの本で読んだことのある、木製のエスカレーターを見るために。意外な事に(当然と言えば当然だけれど)それは黙々と与えられた仕事をこなし続けていた。
 エスカレーターが一般に使われ始めたのはいつのことなのだろうか?事の始まりは多分ベルトコンベアーなのだろうけれど。人を運ぶ、という目的を持ったエスカレーターという物の起こりは、「二階、三階にも多くのお客さんに足を運んでもらい、限られたスペースでもっと効率的に金儲けをしたい」、といった意外に単純な商売上の理由からではないのだろうか。新幹線の停車駅付近の町が栄えるように、それは二階以上の階の売り上げを人と一緒にグンと引っ張りあげたことだろう。

 一九七〇年に開催された大阪万国博覧会では<動く廊下>が話題になった。今でこそ、ちょっと大き目の空港へ行けばどこででもお目にかかることが出来るけれど、小学校に入りたての僕が憶えているくらいだから当時としてはかなり大きなニュースだったのだろう。最近の記憶では、ラスベガスや昨年行った沖縄の海洋博跡で乗った、エスカレーターと動く廊下の中間に位置する<動く斜面>には少し驚いた。考えてみれば、これこそ工事現場のベルトコンベアーその物なのだけれど。

 階段が、廊下が動き出し、そして人間もまた動くようになった。
 一体いつの頃から人はエスカレーターの上を歩くようになったのだろう?
 ニューヨークに来てしばらくしてから、そういった人達が結構いる事に驚いていた自分がいた。そして昨年の日本。それに乗るほとんどの人が歩いていた。エスカレーターの脇には「歩かれない方は、左側へお立ち下さい」、といった看板をあちこちに。どうやら<エスカレーターの上を歩く>事の方が今では主流のようだ。
 それに乗り、さらに歩く事によって速度が変化する物。そういった意味では、エスカレーターは唯一無二の乗り物かもしれない。
 そんなに急いでどこへ行くのだろう?左側に立つ僕は、何度もにらむような視線を感じた。出発から到着までの所要時間の差は数秒程度だろう。しかし人は前へ、前へと進む習性があるのかもしれない。そしてエスカレーターで、つかの間足を休める僕は怠け者なのだろうか?始点も同じ、終点も同じ。そこにあるのは「何を求めているか?」の違いだけ。しかも、それは極めてあやふやな場合が多い。

 当初の目的から少しだけはずれ、エスカレーターはスピードアップすることの出来る乗り物となってしまったようだ。上がったり、下がったりするだけの乗り物ではない。楽をするためだけの乗り物ではない。自分をむち打つ乗り物なのかもしれない。
 ここニューヨークでは、静止しているエスカレーターもまた多い。そういう物に出会った時、僕ははるか上方を眺めてため息をつきそうになる時がある。一方で、その上を歩く事になれている人達は不機嫌になったり、イライラしたりするのだろうか?
 頭では「静止している」、とわかっていても最初の一、二段目ではついついたたらを踏んでしまう。そこにあるべき物。あって当然な物。それが消えてしまった時に、人間の何かがこぼれ落ちる。

 かけ声と共に飛び乗った我々のうち、ある者はその上を歩き始めた。さぁ、次は何だろう?いっそのこと飛んでみるか!もしかしたら空を飛ぶことが出来るかもしれない。

 動く廊下の上を歩く時の、フワフワとした浮遊感は結
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by seikiny1 | 2005-04-22 12:30 | 日ごろのこと
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