ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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着火材
 結構と言うよりも、かなり数字にこだわってみたり、縁起をかつぐほうだ。「あそこの横断歩道だけは直角にしっかりと曲がり、はみ出さないように渡る」とか「地下鉄の改札は一番端を通り抜けなければならない」など。自分の中で<3>と<9>がラッキーナンバーだと何の根拠もなく信じ出して少なくとも二十年は経っていると思う。こんな人間がギャンブルなんかやりだしたら大変だろう。
 毎朝、まず占いから全てが始まる人がいるけれど、そんなことをしていたら僕の場合はがんじがらめに縛られてしまい身動きが取れなくなってしまいそうなので絶対に読まない。たまに、その日の終わりに読んでみて、納得したり、こじつけてみたりするのが心地よい。

 何かを書く時、そばにはいつもビールがいてくれた。それがひとつの着火材になっていた。まずビールを買い,どこかに腰をおろす。ビールを少しずつ飲みながらボンヤリとして、それから思いついたことを書き始める。
 最初は多分自分の本能から、欲望から出たものに間違いない。しかしいつの間にかそれが儀式になっていた。そしてそのこと自体に縛られていた。それは着火材ではなく、単なる自分に対する言い訳。それに脳ミソを反応させて着火材と位置づけていただけなのだろう。
 最近、少しだけ酒に弱くなったせいか、いつの間にか着火材を使わずに火を起こしていた事に気付く。<とにかくどこかでノートを広げて書き始める>。しいて言えばこれが着火材になっていた。バーベキューの炭にとにかくマッチと紙を使って着火しているようなものなのだろう。ただ、いくつかの条件の中で<外で>、<どこかに坐って>というのはやはり抜けない。これは必要条件なのかもしれない。少なくとも今、現在においては。

 着火材、数字、縁起……。こんなものにこだわってしまうのはやはり自分に自信がないからだろう。「何かすがりつくものが欲しい」。何かを頼りにし、うまくいかなかった時にはその責任をそちら側に振る。そうしてあれや、これやと頼りながら生きてきている。ドラッグにはまり、その深淵に落ちていったのも僕の中のそうした何かに頼る性質から出ていたのに違いない。「何かが見えるかもしれない」、「とりあえずこれをやっとかなきゃ」。そんなことはそれをやるための単なる言い訳だった。
 着火材、誤解を招いてしまうかもしれないけれど、それはある意味では宗教と少し似ているのかもしれない。
 そんな着火材をひとつずつ葬り去る事によって人間は少しずつ強くなる。自分に、自分の持てるものに頼りながら小さな、大きなことを解決して自信というものを身につけていくのだろう。

 実は、最近少し忙しくなってきたのでここ数週間は小さな時間を見つけては「サッサ」とノートにメモ程度のものを取ることが多かった。しかもシャープペンシルを使って。文章を書く作業はキーボードに打ち込む際に行っていた。しかし、それは作り出された声に過ぎない。しかも、とても未熟な。それをはじめてから、数日を経た頃から違和感のようなものがつきまといはじめた。自分の中で全く納得のいかぬまま終わってしまった事も何回かある。しかし相変わらずその手法を使っていた。「忙しい」、と自分に言い訳をしながら。
 言い訳はやめて。自分でも聞きたくない。
 元来の鉛筆とノートに帰ろうと思う。そうしなければならない。鉛筆で最初から最後まで。これは着火材ではなく、とても大切なプロセス。考えることなく、立ち止まることなく鉛筆のスピードで書き上げる。このふたつは僕の脳ミソと唯一直結できる出力道具だ。この先も、何物にも換えることは出来ないだろう。これはこだわりではなく、結論。決して縛り付ける鎖ではない。
 こうしてここに書いてしまった以上、もう言い訳は出来ない。至らない点があったらそれは僕の未熟さ、おごり以外の何ものでもない。ひとつだけできる言い訳のようなものは、常にそれは僕自身の等身大であり、しかも成長中ということだけ。

 そして、それがいつの日になるかはわからないけれど、自分の中の数十パーセントが自然発火することを願う。自然発火の山火事はこわいぞ。
 四十三歳の誕生日にふと考えたひとつの自己分析。

 ノートに書く時は飲まなくても、キーボードを打つ前にはほぼ毎日飲んでいます。ただ、打ちながら飲む、と言った器用なことは出来ません。
 それにしても鉛筆で一気に書き上げたら気持ちよかった。そう、それが一番。
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by seikiny1 | 2005-04-14 13:19 | 思うこと
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