ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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たまご
「何入れる?」
 ガラスの向こう側にあるストーブの前で、白衣に身を包んだ男性が次の客に問いかける。彼の横にはバケツ大の容器に入った卵液。ストーブの周りにはたまねぎ、ピーマン、トマト、マッシュルーム、ほうれん草、ソーセージなどが細かく刻まれそれぞれコンテナにはいっている。客の要望に応えて好みのオムレツを目の前でまたたく間に仕上げてくれる。ものの一分ほどでミディアムのきれいなオムレツが皿の上に。この男はこれまでに一体いくつのオムレツを作ってきたのだろう?
 一番人気は全ての具が入った<エヴリシング>。全ての具材があらかじめ混ぜ合わされてひとつのコンテナにはいっている。そうしなければあれだけの客を短時間にさばくことはむずかしい。あれだけの客がいれば、たとえ具材をあらかじめ混ぜ合わせていたとしても余って無駄が出てしまうこともそんなにはないだろう。小さなお店ではやって欲しくない。

 大量の物を効率よく動かすということは難しい。無駄は必ず出てしまう。大切なことはどの無駄を省くか、ということのように思う。ただ、ただ効率だけを考えていればよい時代ではなくなってきている。<食べる>という人間の基本的な要求にもそれは現われている。特に-都会-と呼ばれ多くの人が、洗練さ、を好む場所で。おいしいだけではだめ。身体にも地球にもやさしくなくてはいけない。そんなスローガンのもと人々は<自分で>納得できる物を求め、胃袋と脳ミソを満たす。
 トイレットペーパーは二枚重ねのミシン目入りが標準になってしまった。

 ニューヨークに一年ほど前に出来た俗に言うところの<グルメ>スーパー。立地のよさ、人々が食べ物にこだわるというタイムリーさ(そこにはかなりのマーケティングもあったのだろう)も手伝ってか連日大盛況。一週間の総売上が1.5ミリオン(約1億5千万円)にも達するという。ゴミひとつ落ちていない店内、開放感あるスペース、選りすぐりの食材、衛生管理にもかなり気を使っているように見受けられる。中にはこのスペースで買い物が出来る満足感を一緒に買っていく人達もいることだろう。歩く人の誰もがGood Foodに満足している、こだわっている顔つきに見えてくるから不思議だ。
 食材やその周辺の物に混じってそこには調理された物も置かれている。ニューヨーク名物の計り売りのサラダバー、ピザ、sushi、サンドイッチ、ケーキ類など。店内にはオープンキッチンもいくつか備え付けられている。皆が白衣に身を包み、必ずビニール製の手袋を着用。清潔感を前面に押し出して、食に対する安心感を高めてくれる。
 興味を惹かれしばらくあちこちにたたずみ、そういった場所をのぞき見した。お店側の方針か、法律をキッチリと守っているのだろう。陳列された食品のラベルを確認しながらお店の人が製品を引き抜いていく。ドサッとゴミ箱に捨てられてしまった。フレッシュであることへのこだわり、期限を過ぎた物はたとえ何人であろうとも人間の口に入れさせないという店のこだわりか?6ドル99セントはまたたく間にゴミに転身。
 物によっては供給が需要にまったく追いついていないのだろう。カウンターの中では次から次に調理が進められている。今まで食材が入っていたプラスチックコンテナが無造作にゴミ箱へ放り込まれていき、ゴミ箱はあっという間に満杯になる。再利用しないことでの衛生面のクリア、洗う為のスペースの削除、洗う人を雇う事により発する金銭面での負担そして人を抱える事によって生じる様々な問題の軽減。ここでも無駄はないようだ。ゴミは増え続ける。
 ???……。
 カウンター内を覗き込むと、キッチンには必ずあるはずの台拭き、雑巾が見えない。しばらくして謎が解けた。全てはペーパータオルで行われ、使用済みの物はじゃんじゃんゴミ箱に捨てられていく。一度使った物は再利用しない。なるほど徹底している。しかし、紙だけではぬぐいきれないもの、ぬぐえたとしても何度も、何度もやらなければぬぐいきれないものもあるとは思うのだけれど。そういう面では、かなりの時間の無駄をしていると思う。しかし、ここでもゴミは増え続けている。

 今でも三日しかもたない卵はもちろん存在すると思う、しかしそういったものは、こういうスーパーの棚を占領することは許されないようだ。三日しか持たない卵を置くことでの単位面積あたりの損失などは計算されつくされているのだろう。オーガニック、ナチュラルとの表記があればこういうお店に足を運ぶ人達は嬉々として買って行ってくれる。たとえいいとはわかっていても三日卵には商品価値はないらしい。お店にとってはGood Foodではないらしい。

 矛盾とはこの世の常であるのかもしれないけれど、最近何だか歯車が大きくずれ出しているように感じてしまうことがよくある。何かがおかしい。
 さてGood Foodとはなにを持ってそう呼ばれるのだろう?僕達は祭りばやしにつられて躍っているだけなのかもしれない。

 今朝、卵を買った。箱には<オーガニック>と書かれている。職人を思い出しながらオムレツ作りに自分で挑戦してみる。やっぱりだめだった、失敗。
 賞味期限は五月四日。オムレツ作りの失敗は卵のせいじゃない。あと二ヶ月近くもつからまた挑戦してみる事にしよう。
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by seikiny1 | 2005-03-18 08:20 | 思うこと
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