ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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第四のビール?
 ビールが好きだ。
 決して自慢できることではないが、一年三百六十五日欠かすことなくほぼ毎日飲んでいる。それほど好きだ。

 昨年の秋に日本へ帰るまでの数年間、僕の頭の片隅には常に発泡酒という言葉があった。「売れている」、「安い」、「ウマイ」そんな言葉がついてまわる発泡酒。帰国して早速飲んでみた。感想は?「こんなもんか。ウン、こんなもんだろうな」。まるで誰かにせせら笑われているような味だった。
 確かに売れてはいるようだ、ビールよりは安いようだ、そんなにまずくもない。全てにおいて極めて中途半端な印象を受けた。思い返してみれば様々な雑誌・新聞・録画されたテレビ番組等の広告でその存在を知り、勝手になにかの幻想を抱いていたのかもしれない。広告だからもちろん悪い事を言うはずもなく、確かに日本から来た人は「今、発泡酒がブームです」、とは言っていたが冷静に考えてみると誰の口からも「ウマイ!」という言葉は出ていなかった。日本へ帰り周りの人の評価を聞いてみても「ウマイ」という人はいなかった。そんな人達も家へ帰ると、ブツブツ言いながらもそろって発泡酒を飲んでいた。人によって理由は様々なのだろうが、そこに共通しているのは<仕方なく>。もちろん僕も例外ではなく、滞在先に帰る際には必ず発泡酒の入ったコンビにの袋をぶら下げていた。
 税制の壁があるからか?製造者の価格協定でもあるのか?発泡酒は中途半端に高くもなく安くもなかった。味のほうも製法の、原料の壁があるのかこれまた中途半端。そしてそれらを飲む僕達もお金持ちでもなく、また死ぬほど貧乏でもない。かといって酒をやめられるか?と問われればこれまた自分に都合のいいような返答しか出来ない。そんな僕達に政府が、製造元が、社会が「中途半端なおまえらにはこんなのが適当だよ」、とあざ笑って差し出したのが発泡酒のような気もする。あの味、物足りなさは自分自身の味なのだろうか?そしてまた次の晩にコンビニの冷蔵庫の前で「どれにしようかな?」、と迷いながら結局いつもと同じ銘柄を買ってしまう。そんな自分の姿がいつまでも頭の片隅に残る。

 アメリカにはモルツ・リカーというアルコール飲料がある。位置づけとしては日本の発泡酒のようなものだ。ただし、出しているメーカーは様々な弱小メーカーで日ごろビールしか飲まない人は見たことも、聞いたこともないかもしれない。独特のマーケティングでもしているのだろうか、それらを目にすることが出来るのは俗に<貧乏人>と呼ばれる人が多いエリア。間違ってもミッドタウンのフィフス・アヴェニュー界隈でお目にかかれることはない。その値段はバドワイザーなどの約三分の一から四分の一(五百ミリリットルで五十セント)程度で、とことん安い。これに比べると缶入りのコカコーラなどは高級品の部類に属する。
 モルツ・リカーを買う人はなにを基準に選ぶか?
 第一に値段。次にアルコール度数。最後に味。モルツ・リカーはアルコール飲料であること、貧乏人の味方であることに徹している。

 それの、その周りの全てが中途半端な発泡酒。
 値段だけを考えてみれば、二十年ほど前のビールのそれと較べれば格段に安くなっている。ただ、冷静に考えると単にそれまで無謀なまでの酒税をしいていたからに過ぎず、決して現状がいいという理由にはならない。
 確かに酒屋の冷蔵庫の前で悩むほどにビール類の種類も増えている。しかし、それは四大メーカーがそれぞれ銘柄を増やした結果に過ぎず、本当の意味での選択であるかどうかは疑われる。

 <国民総中流>と呼ばれてきた、自ら呼んできた我々には中途半端なものが一番似合う、という統計でも出ているのだろうか?数十万円もするワインがあるのだから五十円の発泡酒があぅてもいいと思うのだけれど。我々の一人一人がそういうものの出現を心の中で恐れ、拒んでいるのかもしれない。そんな心意気が日本をここまで支えてきたのかもしれないから。

 間接税と直接税の比率は今では四対六であるという。この数字が逆転するのにそう時間はかからないだろう。個人からの直接税の減収を避けて通ることは出来ないし、保険や老人問題など支出もまた大きくなっていくばかりだろう。日本で五十円の発泡酒が発売されることはまずないだろう。日本の社会の、経済の、個人の中ののシステムがそれを許さないだろう。
 中途半端というのは、なかなか出来るものではなくそれほど悪いものでもないかもしれない。

 去る週末にパーティーがあり、一本一ドル九十九セントのポルトガル産のワインを持参した。みんな喜んで飲んでくれていた。
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by seikiny1 | 2005-02-09 09:48 | 日本
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