ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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ブルックリン
 新宿はデジタル。上野や古くからある商店街はアナログ。渋谷はD/Aコンバーターを通り抜けてきた音符たち。町田はA/Dコンバーターで暗号化されてしまった数字列。下北は古いラジカセから聞こえてくるデジタル・ミュージック。
 数週間しか東京にいなかった旅行者に過ぎない僕が抱いた東京の街のイメージ。そこは広く深い。僕のように単にうわべを滑って行っただけでは、もちろん様々な小さなことにまで目が行き渡るはずもないのだが、あながちはずれとも言えないのではないか、とも思う。
 自信をもって言えることは、公衆電話が少なく皆が携帯電話を持っていることくらいだろう。
 僕は単なるお客さんに過ぎなかった。

 再びニューヨークの土を踏んでホッとしたのは、単に住みなれた街という理由からだけではない。そのリズムが、空気が僕にしっくり来る事を身体が感じたせいだろう。
 マンハッタン。ミッドタウンやダウンタウンの一部を除き、ここは心地よい程度にアナログとデジタルが共存している。アナログたちがデジタルの角を取ってくれる街。古いビルの跡にガラスとステンレス製のお面をかぶった新しいビルが建てられようとも隣り合わせの古いビルとなぜか仲良くなることができる街。
 街自体が持つパワーなのか、それとも人々の吐く息のせいか、この街は冷たいが暖かい。拒絶と抱擁が抱き合う街。本音と建前がひとつのベッドで眠る。そんなことが許される街とも言える。
 しかもマンハッタンは都会なのだ。都会として機能しながら苦悩している。その背後からチラチラと見え隠れするアナログの部分がまたいとおしくもある。
 公衆電話のある街。

 所用があり、昨日は久しぶりにブルックリンのダウンタウンと呼ばれるエリアへと足を運んだ。そこはブルックリンブリッジのブルックリン側に位置する。橋のもう片側はマンハッタンのダウンタウンと呼ばれる官公庁街、金融街へと伸びている。この橋のせいだろうか、このエリアにも古くから多くの官公庁やオフィスビルが立ち並ぶ。
 ブルックリンを東京の下町にたとえる人も多い。
 平日の夕方が夜に変わる頃のこの街の表情が好きだ。ストリートは雑多な人々であふれかえる。
 路肩では帽子、手袋、マフラー、腕時計などを売る露天商があちこちに店を広げ、99セント・ストアのレジには長い列が出来る。怪しげな安売り家電の店の前にはビラ配りが立ち、金ぴかの貴金属店のショーケースは燦然と輝く。遠くからパトカーのサイレンが聞こえるかと思えば、道端に止まった黒い車の中では警官がうたた寝をしている。スターバックスの中ではスーツを着込んだ男たちがコーヒーを飲み、そのガラスのこちら側には道行く人々に小銭をねだる男が。OTB(場外馬券発売所)では百以上の熱気を帯びた目玉がモニターをにらみつけ、その隣にあるバーガーキングの窓には<木曜日、ワッパー・サンドイッチ99セント!>の赤い手書きの文字が。
 しばし時の経つのも忘れ、薄暗い街を歩き回る。摂氏零度の街の風は冷たいがさほど気 にはならない。暖房の効いた部屋の窓を開け、くるまった布団から顔だけをのぞかせているような暖かさを感じる。これがブルックリンという街の空気なのかもしれない。
 冷たく、暖かい。僕にしっくりとくる街。

 ブルックリン・ダウンタウンからさらに電車で一時間ほど奥へ行くとコニーアイランド  凍った冬風が吹きすさぶそこは、人の心を暖かく包み込んでくれる。

 ニューヨークのそれぞれの街の表情を眺めていると、もっともっとあちこちの日本の街へ行きその街の横顔を、たまにこぼれ落ちる笑顔を見つめてみたくなってくる。
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by seikiny1 | 2005-01-09 11:13
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