ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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ハトよ
糞害に憤慨か。
いつもの場所、いつもの時間。
いつもとはちょっとだけ違う風景。

「こんな色にしたい」
「この色を守りたい」
そんな気持ちの露れだろうか。
1メートルほどの黒いポールの上につけられた立て看板は、
主張しないように主張している。
いや、主張しつつも主張しないよう心がけている、か。

黒枠に入れられた銀色の金属板にある言葉は、
"Please Do Not Feed The Birds"

目立たぬように、目立つ。
なんだか靴下に凝る男みたいだ。
調和を崩さぬように。ぬきんでないように。
かといって認識されなければ稲の中に埋もれる案山子とかわらない。

この配慮というか苦悩は、場所を運営する会社のものなのだろう。
ここでは警備員すら、
仕立てのいい細身のグレースーツに紺色のネクタイで巡回をしている。
風景に溶け込むように。
時折りトランシーバーに向かってしゃべりながら。
ここはビルの谷間にあるパブリック・スペース。

3年ほど通いつめているけど、
2年前までハトの姿を見かけることはなかった。
たまに見るのは数羽のスズメ程度で。
少しずつ、少しずつ増えゆく鳩の数。
200mほど離れた、別のパブリック・スペースからベンチが撤去されてからは。

ベンチがなくなり人が寄らなくなった。
エサをあげる人そのものがいないのだから、
空腹を抱えたハトはさまよう。
まるで肥満対策としてコーラにデブ税をのっけるみたいだ。
「どうしたんだ、最近また血色よくなってきたんじゃないか?」
「ああ、あそこの角のところでたらふく食ってるからな」

それにしても、いつも思うのだけれど、
ハトは、鳥はどのようにして情報の伝達をするのだろう?
誰かがエサを与えると、
遠くの高い空から一直線にやってくる集団を目にすることがある。
テレパシーでも持ってるんだろうか?
ハト語とスズメ語は共通なのだろうか?
それとも方言のようなもので、だいたいは互いにわかりあえるんだろうか?


効を奏して、とは言いたくないが、
作戦が的中しハトの寄ることがなくなったパブリック・スペース。
掃除は楽になったことだろう。
しかし、人も寄りつかない25mプールほどの2つの空間。
細い幹の木が10本ずつ植えてはあるが、
そこに生命はなく、まったく死空間となってしまった。
体はあるのに流れない血。
無駄なスペース。
沙漠の真ん中に置かれた卓球台のように。
立ちどまる人はいても、
ラケットとボールのないことがわかるとまた歩き出す。



普段はそれほど気にかけるわけじゃない。
風景の一部として、たまに目をあずける程度。
入り口に置かれた看板のせいだろか、
ハトたちの表情が、どこかもの悲しく見える。
緩慢な動きは、ひもじさのせいだろうか。
今朝、出現した看板で、今はまだ朝。
黒文字の功徳が顕れるには早すぎる。
ハトの表情はぼくが作り出しているのだろう。
人がハトにえさを与えるのと同じように。

さて、清掃の人が毎朝の棒雑巾から解放される日は来るんだろうか。
このハトたちはどこへ翼を向けるのだろう。



そういえば2年程前話題になったニューヨーク市の
「鳥への餌やり禁止条例法案」
はどうなったろう?
当時、世論を騒がせていたけれど。



"Please Do Not Feed The Birds"
この看板を目にするたびに悲しい気分になる。
最近では、糞に命中されても腹がたたなくなった。
そんな日は宝くじを買いにいく。

野性に還ることのできないハトたち。
土もなく、天敵もなく、飯もなく。
ハトは泣く。
都会に暮らす人間のように。



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by seikiny1 | 2010-05-13 08:07 | 思うこと
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