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ニューヨーク、街と人、そして……
by seikiny1
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Bridge and Tunnel People
少し歩いただけでこの町が嫌いになった。

理由は単純。
この先も日光東照宮へ行くことはない、それと同じ。
徳川家康が嫌い、ただそれだけのこと。


ひとりになりたくて。
待ち合わせの約束を1時間さばよんで伝える。
午前11時、熱海駅前で同行者の車から降りた。
1時間だけ、ただブラリとするために。

熱海へは行きたくて行ったわけじゃない。
やむにやまれぬ事情で、といったところ。
それでも初めての町。
次はいつ来るのか2度目があるのかすらわからぬ町。
1時間でいいから自分だけの時間が欲しい。
欲ばりだ。

少し古びた商店街を往って、還る。
温泉マーク入りのまんじゅう屋、
干物屋、
郵便局
かまぼこ屋、
一里塚、
床屋
時代にシッポをふらない喫茶店……。
駅構内のかまぼこ屋で試食をしたあと風景にとけこむことにした。
周りを見習いベンチで缶ビールの栓を抜く。

駅前には足湯があった。
先程、梅園でつかったからもういい。
それ以前に『家康の湯』という名前が気にくわない。
歩くうちに通り向こうにあるビルが気にかかりだす。
途中に置かれる古く、小ぶりな蒸気機関車。
明治、大将の忘れ物らしい。


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「ここは『登る』じゃなく、『上る』だろう……」

《機関車に登ってはいけません》
この10文字あまりの文章ででこの街が好きになった。


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国境線なんて言うけれど、
幅5cmほどでは用をなさない。
多くの場合は川や、海をはさんだり。
山のアチラとコチラだったり。
はたまた、長い長い城をこしらえてみたり。
帯は文化を隔てる。
人間がこしらえた塀という境界線、
その上をゆっくりと歩く猫たち。


Bridge and Tunnel Peopleという言葉がある。
あった、か?
今でも使うことはあるんだろうか?
少なくとも15年頃前まではよく使っていた。
川を挟んだ向こう側。
ニュージャージー、コネチカット、ロングアイランド……
そんなところからニューヨークへはるばるやって来る人たちのこと。
生活に必要なものはすべてあるのだが、
不必要なものが存在しない、存在を許されない町。
一種の蔑みと少しの同情を含ませて、
Bridge and Tunnel Peopleと呼ぶ。
日本の「田舎者」とは少し意味合いが違う。


熱海駅前。
大きなロータリーはあるのに近くに横断歩道がない。
ニューヨーカーに豹変して車道を突っ切ってもいいのだけれど、
日本の人の目はキビシク、怖い。
そんなときに地下道を発見。

静かなトンネルを抜けるとそこは駅前とは別世界だった。
うっすらと流れるBGM。
人の気配はない。
通りをはさんで建つ駅前のビル。
繁栄の残香はふんだんにある。
閉ざされたシャッターに湿った靴底の音が響く。

かつての食堂街だろう。
営業中の4軒。
ショーケースに、貼り出されたメニューにグイグイと心が持っていかれていた。
寿司、オムライス、餃子、そば、定食もあればもちろんビールだって。
3軒とも似たようなラインナップで、
すなわちぼくの好みでもある。
覗きこんだ店には小上がりさえある。
酔った吉田類さんがいてもなんの違和感もない。

しかし……。
約束の時間が迫っていた。
軽く1階、2階を流して駅へ戻ることに。
幾分ましとは言えるものの、地上もやはり似たような世界だった。
地下と同じで窓はないのになぜか少しだけ明るい。
明るく感じる。
洋品店、歯医者、ケーキ屋、喫茶店……。
3階以上はオフィス・テナント。
差し込み式の表示にも空白が目立つ。
洋品店のそばを歩く2人の年配女性。


川向こうとこちら側。
コインロッカーの値段。
駅構内では300円。
地下食堂街の階段脇では200円。
100円の差がなんだか悲しい。
使用中のものはなかった。




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by seikiny1 | 2010-04-19 08:22 | 日本とアメリカと
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